Fri - April 30, 2004

井上真「小説 鋼の錬金術師 3 白い花の舞う谷」


ここ数冊は読み終わる度に、次に読むべき本が間髪空けずに見つかって嬉しい限りです。発売日とか全然チェックしてなかったんですが、地元駅ビルのレジ前に平積みしてあったので早速購入。

初版を買ったのが初めてなせいなのか、何カ所か助詞が変な箇所が…誤植か?(笑 何の問題ないんですけどね。

賢者の石を求める旅を続けるエルリック兄弟が向かったのは、錬金術師が「等価交換」を基本原理として統治する楽園と謳われる辺境の街。そこでのある出逢いが、アルの「元の身体に戻りたい」という目的そのものに疑問を抱かせる。盗賊に包囲された緊張状態の中、明るいものとばかりと思われた街の暗部を垣間みるエド。少しずつ明らかになっていく歪みと、収束していく伏線…。

相変わらず面白くて切なくて、気持ちを強く持つ事に前向きになれる作品。今回の話は、某閉鎖された隣国の状況と重ね合わせて読んでしまうのです…楽園は本当に楽園なのか?盲目的に信じる事に対する安堵とリスクの背反性、いろんな事を考えてしまうのも、少しクスリとしてしまうのも、まさに原作通り。時間軸がどうなるのか、と言う疑問が生じるのはこういった外伝的作品がどうしても持ってしまうから置いておくとして、きちんと世界がつながっている感があって、原作の描写に深みを与える事に成功しているのは、メディアミックスの成功なんでしょう。そりゃ売れる訳だわ。

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