Thu - November 25, 2004

読んだ本まとめて(7月に書きかけてた分)


引っ越しだの何だの立て込んでまして、独立したエントリを起こして書く時間がなかなか取れてなかったんですけど、読んだ本はアタリばかり、面白いものが多かったので簡単に感想をまとめておきます。

原リョウ「私が殺した少女」「さらば長き眠り
天才ヴァイオリニスト少女の誘拐事件に巻き込まれた探偵沢崎シリーズの第2弾と、第4弾完結編(3冊目は短編集:読んだのに書きかけの感想が見当たらない…)。ミステリではなくハードボイルドだ、という事を改めて認識させてくれた第2作、そして警察やヤクザとの奇妙な友情?が収束していく完結編。各編の謎とは別に存在する、シリーズを通しての謎はどういう事になっていたのか、その解き明かし方が大仰でなく、かといって期待はずれでもなく、このシリーズならではの会話と空気で幕を閉じたのが非常に印象的でした。未読の方はぜひ。

中井英夫「虚無への供物」上下
以前友人に借りて読んだ事はあったのですが、少し前に新装分冊文庫化して発売されたので、古典的名作だし手元に置いておくために買ったのです。文字が大きくなって段組みが変わるだけで全く別物の印象になっておりました(再読だから分かりやすく、というよりも、文章として非常に読みやすく)

京極夏彦「百器徒然袋−風
探偵榎木津とその下僕たちの織りなす、とっても馬鹿な世界。馬鹿で馬鹿で、「馬鹿が移るぞ」の台詞を痛感した傑作。e-novelで意味がわからなかった「五徳猫事件」の意味もようやく理解。前回よりもさらに大笑いしつつ、最後の最後でちょっとホロリ(謎)としてしまったり。

加納朋子「ささら さや」
奥様のリクエストによりお買い上げ。まず最初はタイトルで「ん?」と思って、中をパラパラと見てみたら、あまりにも主人公が奥様ソックリなので読んだのですが…切なさ大炸裂。先に読んでいた奥様は「子供ができても絶対『ユウ坊』て呼べる名前はつけないようわ〜ん(泣」と、すっかり感情移入。日常の不思議な出来事がテーマとなっているライトミステリなのですが、探偵役は子供が生まれたばかりなのに交通事故で亡くなった夫の幽霊。すこし不思議。知らない街での子育てに悪戦苦闘している奥さんを見守る夫…そして強くなって行く妻。
切なくて温かくて、結婚したばかりのこの時期にこんなに良い作品に出逢えたというタイミングに驚き。奥様はこのシチュエーションに自分を重ねて切なくなっていたようですが、僕も久々に感情移入して読みました…幽霊に感情移入(ぉ

あまりにも面白かったので、加納朋子作品は片っ端から買い漁っております(いずれエントリ起こせるのかなこれは?)。コミック版も出ています。柔らかい絵柄のコミック版は文章で読むよりさらに切なく、夫婦揃って涙ぐんでしまいましたとさ。

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