Wed - April 14, 2004

森博嗣「迷宮百年の睡魔」


ハードカバーで出ているのは前から発見しつつ、前作「女王の百年密室」を新書判で買っていたので、どうも買えずにいた(同じシリーズは同じ判型で欲しいよ)んですが、ようやく新書で発売。即買いましたよ。

サエバ・ミチルとウォーカロン(=Walk Alone、自律行動と学習機能が高度に進化したロボット…みたいなもの)のロイディのシリーズ第二弾。本屋でハードカバーを見かけた頃は「あ〜、この作品も二作目が出たって事は、シリーズになるんだぁ」位しか思っていなかったのです…が!

あの作品を読んでからは、そんな単純な考えでは済まないんじゃないか、て気になって仕方がないのです。時代設定はたかだか22世紀。そして主人公のネーミング、あの作品の最後のパート、いろんな細かい点に「もしかしてコレは…」なんて考えを巡らせてしまって、とても大変な事になってしまってます(オイラが)。メグツシュカ様って、もしかしたら…!?なんて事まで考えてしまうのです。いや、あながち否定し切れなくてねぇ。これまでは単発作品だと思っていた(その割に、前作も充分すぎるほど衝撃的だったけど)シリーズが、急に深い意味を持って来る…関連がなさそうな作品でも深読みしてしまうという、強迫観念に囚われております(汗

この作品単体も、充分に衝撃的でしたよ。人間とは何か、あくまで(僕の好きな)感情の入り込まない観点から見つめて、我々が本質のように思っている事が必ずしもそうでない、という事に気づかされます…勿論、一個の生物として共感をするのは難しいロジックなんですけど!でも冷徹な目で見ると、これ以上の答えはないようにも感じる訳で。

オイラみたいな雑文書きが引用させていただくのもおこがましい限りなんですが、
科学的に説明できないものは実在しません。今は不思議でも、いずれは明らかになります。不思議とはつまり、将来の理解への予感ですね

という文には、ものすごい感動を受けましたよ。このスタンスこそが僕が求めているものであり、森作品から離れる事ができない、最も大きなポイントなのですから。

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