Mon - May 17, 2004

竹本健治「囲碁殺人事件」


「匣の中の失楽」の作者の第二弾(初出は20年以上前よ)。あの眩惑感、翻弄される感を求めるには少々違う作品ですが、人物の描き方や口調はまさしく知っている通りでした。オイラが少しでも囲碁に詳しければ…!(涙

ゲーム三部作、というシリーズの存在だけは知っていました…ただ、それが囲碁、将棋、トランプと続く事や、初文庫化?らしい事は全然知らなかったのです。「匣の中の失楽」の再文庫化もつい最近みたいだし、何がどうなっているのか寡聞にして知らないんですが、名作を手軽に読めるようになるのは嬉しい限り。

で、当然「匣の中」との比較をするんでしょうけど(実際、巻末の有栖川有栖の解説でも、当時のその戸惑いについても触れているし)、メタ的なものが本来あまり好きでないからなのか何なのか、こういった語り口こそむしろこの作者の正道なんじゃないかな、と安心して楽しく読めた訳です。

冒頭でいきなり登場するIQ208の少年(探偵役…?)とその姉、大脳生理学者の三名が挑む首切り事件。繋がっていないように見えた事件が繋がって、謎の目撃証言、隠された動機、囲碁の棋譜に隠されたメッセージ…本当に囲碁のルールをちゃんと理解できてればと思ったし、これをキッカケに手を染めてみたいとさえ思うのです。当時はともかく、今だったら「ヒカルの碁」のおかげで碁は超メジャーなものとなっているのが世間の大きな違いかしら。

王道ミステリとして、この一作だけでも充分満足だったんですけど、解説など読んでみると三部作通す事でまた大きな世界が描かれているらしい…作者のサイトによると次の「将棋」は今月発売の模様。楽しみに待ちますよ!

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