Wed - January 9, 2008

木下半太「悪夢のエレベーター」


幻冬社文庫 ¥600 ISBN978-4-344-41023 「笑いと恐怖の密室劇でハリウッドと吉本新喜劇に殴り込み!? あなたの予想は100%裏切られる! 面白過ぎて、怖すぎて、一気読み確実!」(オビより)

奥様がチェックして先行して読んでて、珍しくハマりまくって一気に読んでました。読み終えるなり猛プッシュをされたなんて初めてだけれど、それも納得のストーリーでした。確かに(通勤通学の電車往復分〜プラス片道分位で)一気に読めて、あれよあれよという展開。こんなあらすじ。
後頭部の強烈な痛みで目を覚ますと、緊急停止したエレベーターに、ヤクザ、オカマ、自
殺願望の女と閉じ込められていた。浮気相手の部屋から出てきたばかりなのに大ピンチ!?
しかも、三人には犯罪歴があることまで発覚。精神的に追い詰められた密室で、ついに
事件が起こる。意外な黒幕は誰だ? 笑いと恐怖に満ちた傑作コメディサスペンス。
(裏表紙から引用)

大きく分けて三つの章立てになっています。エレベータ内という舞台が出来上がった時にはすでに引き込まれているんですが、それでも一章は途中で仕掛け…と言うか先の展開に気付くかも。実際、二人で読んで二人とも同じ展開を想像したので。けれど、一区切りつく所では「えぇぇ!?」と裏切られ、そこからはもう二転三転。どんどん話が予期せぬ方向へ転がって行って、最後にはとんでもない所へ着地。ジェットコースターと言うようなスペクタキュラーな展開ではないけれど、一つの事象を裏から眺めた時の納得、変なキャラばかり…でも実は…。決して壮大なものではないけれど、色んなパーツが綺麗に嵌って行く快感。映画と言うより、オビにあるように舞台喜劇を(小劇場で)観ているような印象。

…と言う印象は永江朗氏の解説を読んで納得。僕は初めて作者の木下半太氏の名前を知りましたが、それもそのはず、これが処女作。関西を拠点にする俳優、劇作家で「チームKGB」主宰の方だそうで。この読後感に満足した所に紹介される最新作。もう、そっちも読みたくなっちまうじゃないか!

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