Sat - August 30, 2003

恩田陸「三月は深き紅の淵を」


次に何読もうかな、と迷っているところで珍しく粗筋読んで曰く「...その屋敷内にあるはずだが、十年以上探しても見つからない稀覯本『三月は深き紅の淵を』の話...」。本がネタになっているってトコで決めて読んでたのです。

象と耳鳴り」を読んでいた時にも感じた事なんだけど、本好きが読むにはタマラナイ作家さんですわ、恩田陸って。読んでみたい本が増えていく一方なのです。文中に挙げられている作品にしても、本人の作品にしても。
前回読んでいた中に中原中也の詩があって、そこに感じたザラリとした淀んだ感触を確認するために本棚を漁ってみたりもしましたが(「在りし日の歌」の中の「北の海」だった)。今回はそこまではムリ。本の話がホンット、多い。読んだ数が多いほど、ジャンルが広いほど楽しめるんだろうなぁ。

あ。文学青年な訳でもないのに中原中也とか知ってるのは、三善晃の「月夜三章」て女声合唱組曲を聴いた時にゾクリとしたからで。誰も聞いてませんかそうですか。昔から「チルシス」「アマント」てイメージはなんとなくできるけど何の事だかわかりませぬ。動物関係?ファンタジー?

んで、話を本題に戻すと。構造がね、メタと言えばメタだし、かと言ってそう言い切る事もできないし。なんとも不思議というか、座り心地が落ち着かない(これが狙ったものであるのは、読んでれば充分解るのだけど)。何となくお気楽に読める箇所もあれば、理解した瞬間に吐きそうになった話もあったり...ダークファンタジーと思っちゃっていいのかなぁ...第三章で絶句した所、この感覚って、ジョナサン・キャロル沈黙のあと」の最後に近い絶望感を感じるのだけど。そこで終わってたら、もう投げちゃってたかもしんない。救いがなさすぎて。終わってなかったから良かったよぅ!
で、それまで読んでて、アレ?アレ?と翻弄されていた箇所は第四章の冒頭で理解できるのに、それをメタ構造として当てはめると今度は違う部分がチグハグになる。う〜ん。最後まで読んで、意図がようやく理解できました。完全に踊らされてます(笑

と言う事で、次に読む本はもう決めてます...と思って本屋さん探してもまだ見つからないんだけど。別冊宝島僕たちの好きな京極夏彦」に、アートディレクションをした本、という事で唯一載っていた「黒と茶の幻想」を!こういうツナガリ方って、何なんだろう。恐ろしささえ、感じる。

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