Tue - September 30, 2003

ゲッツ板谷「バカの瞬発力」「板谷バカ三代」


西原理恵子のイラストで気になってはいたゲッツ板谷の本、たまってる本はあるのに一冊も手許にない状況の時に「なるべく軽そうなもの」のつもりで買ってみたらコレが面白いのなんの。久々に抱腹絶倒。たまらずもう一冊。

僕はパチンコ/パチスロをまったくしないので、デビューがその方面だった氏の名前は知っててもどーいうモノを書くヒトなのかは全然知らなかったのですが。金角と銀角、てコンビだけは何故か知っていた。何故だろう。サイバラマンガに登場してたから、以外は考えられないんだけど。

基本的には、ゲッツ板谷氏の家族と、まわりの人達の話。我々の普段の日常からすると、大事件のオンパレード。曰く「バカのディズニーランド」って事だけども...もっととてつもない形容が欲しい気がする。表し切れてないし。それまでの経験で計れない事象に出逢った時、言語とかの限界を思い知らされる。その昔、噂とNews Weekの記事だけで知っていたSouth Parkを初めて観た時と同等か、下手をするとそれ以上の破壊力を持った笑い。電車の中で吹き出しそうになって慌てる、てのは本当に久々(普段コメディとか好きじゃん、てツッコミもあるだろうけど、日頃ソッチ方面の事ばかり考えているから、ちょっとやそっとの事じゃ腹の底から笑う、て事はまずできなくなっちゃってるのな...スノッブっちゅーか、スレちゃったっちゅーか)。

...そうだ、今日お昼を食べに行ったカフェテリアで、シモーヌの予告と何故か今さらサウスパーク映画版がエンエンと流れていたんだけど、この映画の吹き換えがそれまでの日本語吹き換え声優を使わずに、話題づくりのつもりなのか全然違う関西弁になってファンがみな激怒したなぁ、って思い出したり。いえ違う声優だから悪いのでも、関西弁だから悪いのでもなく(実際、shockwaveサイトにあった関西弁版はokなので)。責められるべきは「お笑いだからパブリシティ的には関西弁にした方が受けるだろう」という発想の安直さ。笑いを理解するためには高度な知性が必要なのだよ。送り手ならばなおさら。

で、そーいう高度な知性のあるなしを問題にさえしないまま腹筋を鍛えてくれるこの本、語られる内容や起こる事件は常識外れに面白い上に、軽妙な文体でソレを包み隠さずネタにする、って姿勢はもしかしたら責められるべきなのかも知れない。毒気も強いのかも知れない。自分は毒に対して耐性ができすぎちゃってるから、そこはなんとも判断がつきかねるんだけど。でも、これだけすさまじい笑いを提供しているにも関わらず、嫌味をまったく感じないし、むしろ微笑ましい印象さえ。...いえ回りでこの中の1エピソードでも起こったら嫌ですマジで。でも、キャラは立ってるし、ヒドい言動があっても妙に憎めなかったり。

...という感想は、よしもとばなな矢井田瞳ピエール瀧が寄せている文章に正解が。これだけ毒づいているのに、これだけ殴り合いや血まみれ事件や家族の死さえもネタにしているのに、その視線は非常に暖かいものがあるから。
僕自身が笑える事に対して普段から飢えているので、どうしてもこういうエッセイ的読み物に関しては「ネタ」だけに注目、その次に文体=プレゼンテーションの技法、そして著者の視線はもっともプライオリティが低いもの、と思っているのに、それでも感じるこの暖かさは何なんだろう。よくある「笑えて、そしてホロリとくる」なんて安っぽいキャッチコピーとは本質からして別次元のもの。

Categories
Total entries:

Archives
rss