Thu - January 1, 2004

芦辺拓「殺しはエレキテル 〜曇斎先生事件帳」


あけましておめでとうございます。今年もなんとか更新頑張るですよ。ネタはともかくTV番組的にすげー出来の良いトリビアの泉SPを見ながら。新年一発目のネタは、あとがきをようやく読み終わったこの本から。

年越しは無事マトモにできましたよ。地元で一番好きなお店で蕎麦とタレを買って帰って作って食べたしー♪


ふたりぶん。

買ったキッカケは唐沢なをきによる表紙イラスト、という「フランケンシュタインの方程式」と同じパターンですが、芦辺拓氏は幻想文学新人賞にも入選した経緯も持つ、本格ミステリの雄と言われる作家。こーいう時代劇ミステリは割と多いんだけど、ミステリ好き+江戸時代好きにとってこういう状況は嬉しいのですよ。この作品、キャラがすごく立ってるし(イラストの印象もかなりでかいと思うけど)「風雲児たち」の印象が強いので、若い頃とは言え、大塩平八郎の扱いに初めムッとしたんだけど、追々「まぁこれくらいならあの性格から考えるとあったかもな」て気分にもなるからノー問題。何より読後感がジットリしてなくて、気持ちよく読める作品でした。

主人公の曇斎先生こと橋本宗吉は、大阪蘭学の始祖として知られる実在の人物。蘭学って時点で高野長英とか杉田玄白とか思い出してはらはらと切ない気分になったりもするけれど、大阪って町は江戸から離れてたせいもあってどうも雰囲気が違うみたいで、あまり悲壮感もないですな。これはこれで嬉しい状況かもしれない。

短編集なのだけど、各事件には蘭学と言えば、なエレキテルほか、なんとなく意味がわかるゼオガラヒーとか、まったく想像がつかないリュクトキシップやドンクルカームルとか、いろんなアイテムが登場。この辺も面白いね。

実在(橋本宗吉の事はこの本を読むまで名前も知らなかったんだけど)の人物が探偵役になるミステリとして、森雅裕モーツァルトは子守唄を歌わない」「ベートーヴェンな憂鬱症」もちょっと思い出してみたり。また読み返そうかな(今回の作品と全然内容はリンクしてないけどね)。

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