Tue - January 13, 2004

森博嗣「四季 秋 〜The Four Seasons, White Autumn〜」


なんだか追ってる作家さんの本がまとめて3冊も出てました。嬉しい。色々順序を考えて、まずは3作目のこの本から。後半に入ったので話が大きく展開する...かと思いきや、例の事件そのものが動いたのではなく。

」で「もしかして?」と植え付けられた疑問。バッチリ言及されてました。...あぁ!別にミスリーディングがあった訳じゃないので、こちらの勝手な思い込みなんだけど...そういう事だったとは!すげぇよ、ある意味、京極夏彦「塗仏の宴」よりもスケールのでかい仕掛けだったんだもんな。20冊以上(つまりこれまでのS&M、Vシリーズ全作品)読んでて初めて感じるこの手応え。こんなに面白い本が読める事に、本当に感謝。

そして、真賀田博士の事件は「すべてがFになる」「有限と微小のパン」だけでは全容が見えていなかった、という事実。そうだよな、あの動機ですべて解決していたんじゃぁ、真賀田博士の思考をトレースしきれていないし、そもそも人物設定として中途半端な事になってしまうもんな(勿論、前述2冊を読んでいる時も、読み終えた時もそんな事は微塵も感じていなかった訳で。ただ単に、普通レベルの思考で付いて行ける範囲内の解決しか見せていなかった、て事だろうね。で、全作品追っかけておくとこの「秋」で途轍もない眩惑感を味わえる。収束して行く快感)。

四分割された「四季」という作品の中でも「秋」は大きな山場。これまでに提示されていて解決に至っていなかった謎(ほとんどは謎として書かれていなかったけど!)はほとんどスッキリと収まるべき場所に収まった感じ。まるでパズルのように。

...「冬」では何が書かれるんだろう?いくつか予測できる筋はあるんだけど、ここまでやられるとは正直予測してなかったんで、もう素直に待つだけにしましょう。本当、ここまで楽しみにできる本があるのは幸せ極まりないわ。
ストーリィでなく、構造の予想:「F」と「パン」がシンメトリになっている点、S&Mシリーズと「四季」の関係、「春」で書かれている時期から、「冬」で描かれる時期は...やっぱりシンメトリになるんじゃないかな?と(小説的には少し先の未来、て方がありそうなんだけどね、こっちの予想は外れてくれても嬉しい)。

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