Wed - April 21, 2004

若竹七海「名探偵は密航中」


読む本がなくなっちゃって、駅の売店で何かないかなーと思って棚を探したところ「競作 五十円玉二十枚の謎」で見覚えのあった若竹七海の文庫が。すでに自分で満足した事のある作家さんは安心して買えますよ。

昭和五年の夏に倫敦を目指し横濱を出航した豪華客船「箱根丸」を舞台に繰り広げられる事件の数々。血腥いものばかりでなく、微笑ましいもの、なんだか間抜けなもの…奇妙な事件が続いて行く短編集。恩田陸「象と耳鳴り」とか北村薫とか倉知淳と近い感触かな…。ひとつひとつの謎解きで感心しつつ、全編を通してのトリックが…!素敵な一冊。

舞台が戦前の豪華客船という事でなんともハイソサエティな香りもしてきますが、だからと言って読み難い事もなく。むしろ、閉鎖された船内だからこそ起こる心理や事件などもありつつ、舞台を効果的に使っていますよ。これまであまり数を読んでいない作家さんではありますが、もう少し真剣に追いかけてみようかなぁ。

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